5年ぶりのペルー遠征〜新しい家族と共に、大好きな山の懐へ〜【アンバサダー 稲田千秋】

ペルーは世界の中でも私の大好きな場所です。こちらのアンバサダー記事の初回記事として、アルパマヨ登山の様子を書かせていただきました。前回の遠征からコロナ禍を経て、母となり、早5年が過ぎました。今回は家族3人で高所トレッキングに行ってきましたので、その様子をご紹介します。

ペルーは南米にある太平洋に面した国で、国土は日本の3.4倍。そこに約3400万人の人が暮らしています。マチュピチュやナスカの地上絵が有名ですが、海、山、ジャングルを擁し、美食大国としても知られる魅力に溢れた国です。

首都であるリマは海辺の街で、赤道に近いので冬でも気温15度以上と過ごしやすい場所です。空港があるので、日本から行くとリマは必ず訪れる街です。街は5年前とあまり変わっておらず懐かしさに浸りました。でも今回はなんと子連れです。リマの公園で子供と一緒に公園で遊ぶなんて、想像すらしませんでしたね。

ここから登山の玄関口であるワラスの街までは、バスで9時間弱、約400kmの移動となります。大型高速バスで、最後は標高4000mの峠越え!息苦しさを感じ、血中酸素飽和度(SpO2)も下がってしまいます。

ペルーの西寄りを南北に貫くアンデス山脈には、ペルー最高峰である標高6768mのワスカランを主峰としたブランカ山群やペルー第2の高峰であるイェルパハを擁するワイワッシュ山群など、40座を超える6000m級の山々がひしめいています。

そして、街の人々は高い山々と密接な暮らしをしています。標高5000mに迫る広大な土地で牛や羊の放牧が行われ、標高4000m以上のところまで村があって道があり、乗合バスが運行しています。

このため、我々登山者もかなり高いところまで車で入ることが出来ます。6000m級の岩と氷雪のミックス壁を、短いキャラバンで登り放題のまさにアルパイン天国です。

もちろん、白く輝く山々を間近に見られるトレッキングルートも数えきれないほど存在します。登山をするのは主に外国人で、ペルーアンデスを訪れる人の多くはヨーロッパ人だそうです。日本人にもとても人気があります。

今回は2歳の子供を連れてのトレッキングになるので、5年前アルパマヨのキャラバン中に知り合って最終登攀ではロープを結んでくれた国際ガイドの友人にガイドをお願いしました。

10日間のワイワッシュ山群周回トレッキングです。6000m級の山々のまわりを東から西へぐるっと1周まわり、全方位から大迫力の壁を見られちゃう贅沢コースです。

このトレッキングでは、標高4000m〜4500mでの宿泊が多いため、事前に高所順応が必要です。このトレッキングに出発する前の3日間は、それぞれ日帰りの高所順応トレッキングを家族3人で行いました。

まずは1日目、colectivo(乗合バス)に乗ってガタガタ道を進みます。2歳の子の首が心配になるほどのダートです。向かうはラグナ湖トレッキングコースのスタート地点です。

ラグナ湖は標高3800mにある美しい湖です。ペルーアンデスには氷河から流れ込む透明度の高い水をたたえる美しい湖がたくさんあります。

半日ほどでトレッキングを終えワラスの街に戻ると、友人のガイドが経営している宿に戻ります。奥さんが毎日朝ごはんを作ってくれ、息子のことも気にかけてくれとても快適です。

2日目は、標高4200mにあるラフコルタ湖を目指すトレッキングです。登山口までは、普通のcolectivoやタクシーでは入れないような沢の渡渉を含む激ダートとなるため、頑丈なトラックに来てもらって向かいます。

ワンツァンという標高6395mの美しい山と氷河を間近に望む、数あるトレッキングルートの中でも群を抜く美しさのトレイルです。湖でランチして、順応もばっちりです。

さて、もう少しで10日間トレッキングへ出発です。次回もペルーの記録をお届けします!

稲田 千秋

稲田 千秋(いなだ・ちあき)形成外科医、クライマー。学生時代から登山、クライミングに熱中し、季節やジャンルを問わず様々なスタイルでフィールドアクティビティに興じる。現在はフリーランスで世界中を旅しながらクライミングを楽しむ傍ら、国際認定山岳医として、日本の山岳医療発展のため活動する。2016年 Yosemite国立公園 El Capitan "The Nose"完登。2019年 ペルーアンデス Alpamayo "French Direct"登攀など。

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