今回の『Mountain Journal』は、リュックキャンプの第2弾。テーマは、本格的な冬の中どれだけ暖かく快適にキャンプできるか。場所は「公共機関を使ったリュックで行くキャンプ」をルールにリサーチ。もちろん、キャンプだけでなくトレッキングもルート条件に探していくのですが、冬場はなかなかキャンプ場がオープンしていなく苦戦しました。そんな中、たどり着いたのは昨年7月にグランドオープンした軽井沢にあるライジングフィールド軽井沢。こちらは通年で営業しており、アクセスも良く、自然豊かな上施設もかなり充実しているとのこともあり、即決。
今年は世界的に暖冬だったのですが、年明けから寒い日が続き、ついに本格的な冬が到来!この時期の軽井沢には行ったことがない上、実は冬のキャンプははじめて。取材日の気温を調べてみると最低気温はマイナス10度…。幸い雪はまだなかったのですが、防寒まわりの装備は冬山用のギアで準備をしました。冬山用のギアとキャンプ道具を考えるとかなりの量になりそう。というのも、今回はダッチオーブンを持っていこうと企画段階から考えていたからなんです。寒いフィールドでの快適性とは?と考えたときに思いついたのは、やはり温かい食事。ダッチオーブンを第一優先に考えると、リュックは大型。しかも、かなりの重量になるため今回はヒップベルトによる荷重分散に優れているjaguar60+10をチョイス。大型リュックとはいえ、かさばるキャンプ道具を一式持っていくのは不可能。登山用ギアで荷物を最小限に抑えつつ、なんとか準備完了。
北陸新幹線で軽井沢駅へ。電車での訪問ははじめてだったのですが、所要時間1時間半弱と車よりも早く、思っていたより電車便利!と思いました。早速近くのスーパーで食材を調達。ある程度はダッチオーブンの中に準備してきたのですが、さすがに入りきらず足りないものは現地調達。前回同様ここでもポケッタブルトートのmars toteが大活躍。開口も広く、本当に便利ですコレ。駅のバス停に戻り、バス到着までしばし休憩。風が吹くと寒いのですが、陽が当たっていれば本当に冬なのかと疑うほど暖かかったです。
バスに揺られること、しばし。軽井沢の街はオフシーズンだったので閑散としていましたが、豊かな自然を垣間見る街並みは穏やかな気持ちにさせてくれます。ついうたた寝をしてしまい、気づくと目的地に到着! 昨年リニューアルしたばかりのキャンプ場なのにバス停名がライジングフィールド軽井沢になっているのにはびっくり。目の前には見渡す限り自然が続き、落ち葉の匂いが一気に眠気を吹き飛ばしました。
買い出した食品やキャンプ道具で両手がふさがりながらも、てくてくとキャンプ場内へ。ライジングフィールド軽井沢はアプローチがとても楽なので出発からあまり歩いてはいませんが、約25kgの荷物でも効率良く荷重分散できるジャガーのおかげで見た目よりだいぶ楽でした。
受付を済ませ、売店を物色。キャンプ道具がかなり充実している模様。話を聞くと、手ぶらに近い状態でも問題なくキャンプができるそう。今回は必要な道具はほとんどを持ってきていたので薪のみを購入し、早速キャンプスタート。テントを立てていると日が陰りはじめ、一気に寒くなったので、すぐに焚き火台にて火を熾しました。火は偉大ですね。テントがまだ未完のまま、しばらく焚き火台に沈み込んでしまいました。気づくとお昼を過ぎていたのでこのまま昼食にすることに。
昼食は「和牛ハンバーガー」。実はライジングフィールド軽井沢を調べている最中にサイト内で発見したのですが、BBQなどの地元のお肉が事前オーダーが可能なんです。再び受付で材料を受け取り、調理開始。とにかくパティのボリュームがすごく、スキレットが肉汁で溢れそうでした。ちなみにお肉だけで300gです。
パティを焼いている最中に焚き火台でパンをこんがりと。お肉の匂いとパンの焦げ目が食欲を駆り立たせます。
焼きがったパンで和牛パティを挟むとダイナミックな仕上がりに。このハンバガーキットはチーズ、レタス、トマトもセットなので見た目もグッド! 早速こぼれ落ちないよう気を付けながらガブリと。まあ調理中に予想はしていましたが、案の定口の中は肉汁でいっぱい。幸せです。ずっと食べていたいくらい(笑)
食後しばらくすると青空が広がり、再び気温が上がりました。ライジングフィールド軽井沢はとにかく敷地内が広い! 場内にはトレッキングコースをはじめ、川や池などもあり、とにかく自然が豊か。ロープスコースなどのアドベンチャーを楽しむこともでき幅広く自然と取り組むことができると思いました。今回もキャンプだけでなくトレッキングも目的の一つだったのでAR 10と共に場内のトレッキングルートへ。
コースは緩やかで歩きやすく、とても快適。辺りは冬独特の澄んだ空気と静寂に包まれていました。一歩一歩踏み出すごとに、落ち葉が繰り出す音が音楽のように響きわたります。しばらく歩いて行くと、池を発見。全て凍っており、今年初めて冬らしさを感じました。恐る恐る氷の上に立つと、かなりしっかりしていて、氷の厚さが伝わってくるほど。冬場はもちろん夏もいい遊び場になるなと一人合点。
途中、かわいいヤマガラの声が聞こえたのでしばらく探してみると発見、すかさず激写。色合いが美しいです。
後半は寒くなってきたので、トレイルランニングに変更。AR 10が本来の機能を発揮し、抜群のフィット感でキャンプ場まで一気に駆け抜けました。
さすがダッチオーブン、短時間で全ての食材が柔らかく仕上がります。蓋を開けると、鍋一体はトマトで赤く染まり、野菜の水分がスープへと変わり溢れそうです。しかしながら10インチは大き過ぎでした。2人でこの量を食べれるか心配。幸い時間はまだ早いので気長に食べることにしました。チキンはとても柔らかく、トマトの酸味が味を引き立たせます。玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジン、パプリカなどの野菜が溶け込んだスープは格別。気温は0度近かったのですが、熱々のため食べている最中は着ていたダウンを脱ぐほど体が温まりました。
日が暮れ、少し荷物を整理したあと、場内にあるcafe & barへ。
入って驚いたのが、まるで都内のcafeのような佇まい。
室内には暖炉も完備しておりとても暖かいです。
ソファに沈み込むと心地よく、満腹のせいか一気に眠気に襲われました。
cafe & barを出た後はお楽しみの焚き火いじり。気温は氷点下になっていましたが、火があれば大丈夫。夕食の残りのスープで体内からも温めます。途中スープの匂いにつられたのか狐が近寄ってきました。ある程度距離を保った状態がつづきましたが、薪がなるタイミングでいなくなりました。同時にスープも完食。火が消えると一気に辺りは冷え込み早々にテントに避難。シュラフは厳冬期用を持ってきていたのでぐっすり快適に寝ることができました。
日の出と共に起床し、軽く朝の散歩をした後朝食の準備。メーニューは5種類のチーズサンド。これは今回の出発前に見た映画「シェフ」の影響です。コツはいかに焦がさずパンにバターを染み込ませるかです。完全に映画の受け売りですが、メイキングシーンで「全ての事を忘れ、パンにバターを染み込ませることだけに集中しろ!」といっていたので(笑)。でも本当にその通りだと思いました。
食後ハーブティーでゆっくりした後、荷物を整理し帰路につきました。
冬キャンプは初めてということもありましたが、快適に過ごせたように思えます。冬季のキャンプはあまり馴染ないと思いますが、十分な装備と充実した設備があれば楽しむことは可能。冬山装備のため特に困ることはありませんでしたが、とても助けられたのが、ライジングフィールド軽井沢の施設です。キャンプ場とは思えないほどインフラが整っています。水場のお湯や清潔なトイレなど。今回はほとんど食べてばかりでしたが食事を中心としたキャンプはやはり楽しいもの。厳しい寒さがより食事を引き立て、普段のキャンプの何倍も美味しく感じました。夜はほぼありがたみに近い感覚でしたが(笑)。
リュックキャンプ、やっぱりオススメです。登山道具とキャンプ道具の組み合わせを考えるのも面白いんです。「リュックひとつ」という制限があるからこその工夫もいい経験になります。ぜひみなさんも試してみてください。それでは次回をお楽しみに!
ライジングフィールド軽井沢 http://www.rising-field.com/ TEL 0267-41-6889(代表)
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【ギア紹介】
●リュックサック①(jaguar 60+10):長期の山行やエクスペディションで活躍するフラッグシップモデル。
●リュックサック②(AR 10):カリマーのトレラン用リュック。折り畳めるのでアタック用としても便利。
●トートバック(mars tote):開口が大きく、収納力抜群のポケッタブルトート。
●シェルジャケット(boma NS jkt):ソフトシェルの優れた通気性、換気性、ストレッチ性と、ハードシェルとしての防水機能、耐摩耗性を組み合わせたジャケット。
●ダウンジャケット(vinson down parka):優れた保温性を持ちながら、行動にストレスを与えないダウンジャケット。
●ダウンパンツ(ultimate down pants)軽量性・保温性に優れ、コンパクトに収納も可能なダウンパンツ,(compact pants):とっても軽くて、はき心地が最高です。
●アクセサリ(folded beanie):厚手に編みあげられた折り返しビーニー。
●ワレット(VT wallet):ポケットが多く小分けになっているので、とても便利。
●レインパンツ(boma NS slim pants (unisex)):今回は使いませんでしたが、レインジャケットと合わせて必携です。
●テント:MSRのハバHP ●シュラフ:NANGA UDD BAG 1000DX ●マット:サーマレスト ●小マット:サーマレスト ●焚き火台:MONORAL ●ダッチオーブン:LODGE 10インチ ●トライポッド:LODGE ●スキレット:LODGE 6.5インチ ●ケトル:UNIFLAME ●ホットサンドメーカー:ヨシカワ ●イス①:Helinox ●イス②:ADIRONDACK ●バーナー:MSR ●マグカップ:EcoSouLife ●ナイフ:SPYDERCO ●ランタン(outdoortech) ●耐火グローブ:STANCO ●ミニパワーバンク、お皿(outdoortech):カメラや携帯で写真を撮る事が多いので、すぐに充電できるよう持っていれば安心のアイテム。●カメラ:NIKON FM2。●食材:現地調達。 ●調味料類:オリーブオイル、白ワイン、塩こしょう、ハーブ類。