冬山で新アイテムをフィールドテスト。八ヶ岳の主峰・赤岳(2899m)に登ってきました。
午前4時起床。アタックザックを手にテントを出ます。アイゼンを装着し、ピッケルを手に深呼吸。静かな緊張と高揚を噛み締め、五感が冴えるのを感じます。
稜線からは時折、ごうごうと風の音。予報では昼まで西寄りの風。そこで頂上直下が風裏となる、文三郎尾根を登ることに。
夜明け。尾根を詰め、稜線鞍部に上がると、複雑な地形に渦巻く風が容赦なく吹き付けました。突風に煽られぬよう、慎重に歩を進めます。
頂上直下のクーロワール。凍てつく岩が連なり、どこかの惑星に迷い込んだかのよう。
6:20am
赤岳登頂(2899m)
全てが凍てつく氷の世界。他に登山者の姿はありません。
零下14度。風速15mの風が吹き、体感温度は零下30度。ちょっとの油断が凍傷や低体温症に繋がる厳しい環境。こんな時こそ、アウトドアギアの真価が問われます。
頂上には40分ほど滞在。霧の晴れ間を待ちました。その間、シェルとダウンのレイヤリングが身体を保温。安全、快適に過ごすことができました。今回のようなシビアな環境でのインプレは、早速開発チームに伝えられます。
7:00am 下山開始
帰りは赤岳展望荘を経て地蔵尾根ルートを下ります。
氷雪のなか、じっと春を待つ石楠花(シャクナゲ)。雪解けとともに葉を広げ、初夏、黄色やピンクの花を咲かせます。その逞しく、気高く、可憐な姿に惹かれます。生命の温もりに、ほっとする瞬間。
9:00am行者小屋へ到着。稜線とは一転、穏やかな空気。赤岳上空にも青空が見えてきました。土曜ということもあり、続々とクライマーが入山中。午後には所狭しとテントが並ぶことでしょう。
テン場で下山準備をしていると不意に私の名を呼ぶ声がしました。振り向くと関西の知人Y氏とパートナーが。久々の再会に会話が弾みます。「来春、ついにヒマラヤの未踏峰に挑戦するんですよ!」と語る笑顔が最高でした。氷壁へ向かうふたりの背にエールを送りつつ、下山の途についたのでした。
今回使ったアイテム
バックパック:cougar 55-75、バックパック:mars daypack、ハードシェル:boma NS jkt、ダウンジャケット:concordia down jkt、パンツ:summit pro pants、フリース:alpiniste fleece、帽子:WG rib beanie、グローブ:PSP glove +d、グローブ:wool glove +d、ネックウォーマー:PS neckwarmer +d