「関東ふれあいの道」という長距離自然歩道があります。一都六県の自然・文化・歴史を巡る総延長1800km、160のルートから、今回は三浦半島の岩礁トレイルを紹介します。
高校からの親友と過ごす休日。「たまには海へ行こう」と三浦半島へ。京急・三浦海岸駅からバスに乗り、松輪バス停で下車。案内板を目印に海へ向かいます。
10分ほどで松輪漁港へ。ここから関東ふれあいのみち・岩礁トレイルが始まります。ゴールの宮川町バス停へは約10キロ。はたしてどんな景色に出会うのか。
漁港を過ぎると景色は一変。美しい海辺が広がりました。
関東大震災(1923年)で隆起して陸地となった、広く平坦な岩場がつづきます。
景勝・劔崎の碑。岬にはレトロな灯台が建ち、海の安全を守ります。
かつて劔崎には大蛇が住み、時折暴れては通過する船を沈めました。そこで祠に祀ったところ、船が安全に通れるようになったと伝わります。海岸の祠は竜神様として地元漁師に崇められ、今も祭日は全船休漁するのだそう。
入り組んだ入江は、太古の自然を思わせる独特な景観。いまにも海獣が現れそうな雰囲気です。イルカかクジラか、不思議な骨が打ち上げられていました。
矢の根井戸。平安末期の武将・源為朝が伊豆大島へ流刑となった際、放った矢がここに落ち、水が湧き出たと伝わります。為朝は甥の義経同様に伝説が多く、鬼退治や琉球王朝の始祖説など様々な逸話を残しています。時代を揺るがせた猛将として、人々に語り継がれてきたのでしょう。
地層を見上げながらの海歩き。三崎層と呼ばれる400〜1200万年前の地層です。可視化された途方も無い時の流れを見つめていると、平衡感覚が狂い、どこか別の時空に吸い込まれそうな気分に陥ります。
劔崎から江奈湾にかけては海が迫るセクション。大潮の満潮や波浪時は通行不可となるでしょう。この日は昼の干潮時に歩く予定を組み、万が一に備えて各自ロープ、2Lペットボトル(浮力体として、少し水を入れたボトルをロープに結んで投げ入れます)を携行しました。海歩きも登山同様、準備と下調べが大切です。
松輪江名港に到着。
食堂で地元のブランド魚・松輪サバを頂きました。松輪サバは、大分の関サバと並ぶ高級魚。一本釣りで釣られ、通常のマサバの数倍の値が付きます。「今が旬。絶対に後悔させませんよ」という女将さんの言葉通り、友人とうなりながらの昼食となりました。
次回は白浜毘沙門の岩礁トレイルへ。