この夏、徳島から東京へのフェリーに乗船。黒潮をゆく海の旅を楽しみました。
四国での仕事の帰路、東京までフェリーに乗ることに。徳島市中心部から車で15分。埠頭にはオーシャン東九フェリーの新造船「りつりん」が接岸中。東京航路は1日1便。徳島を午前11時20分に出航します。
乗船手続きを済ませ、車両甲板へ。トラックからオートバイ、自転車まで、様々な車両が東京を目指します。東京〜徳島の運賃は、乗用車で33,000円ほど。料金にはドライバーの乗船料が含まれるので、宿泊と移動費を考えれば安上がりかもしれません。
車両ゲートが閉まると、いよいよ出航。汽笛とともに海原へ。
船室は2段ベッドが並ぶカプセル形式。他には4人個室やペットと泊まれる部屋、バリアフリー個室があり、旅のスタイルで選べます。キッズルームほか、男性のトイレや浴場にも赤ちゃんのオムツ交換台が設置され、家族旅行にも配慮した設備を備えていました。
東京へは16時間の船旅。ラウンジでデスクワークを済ませたあとは、のんびり海を眺めて過ごします。
紀伊水道を南下。海は深く濃い青へと変化し、黒潮が近づくのを実感。携帯も圏外となり、日常から切り離された空間に。何事も速さと効率が求められる今の世のなか、船旅は贅沢な時間の使い方かもしれません。
また、海上輸送のCO2排出量は、トラックでの陸上輸送の約1/3(*2016年 鉄道・運輸機構)。一度に多くの貨客を運べるフェリーは、地球環境にも優しい移動手段といえるでしょう。
トラックドライバー、学生、そしてお遍路さん。フェリーは様々な人を乗せています。四国巡礼を終えたという男性が、ひとり、海原を眺めていました。
日没。夜の帳が太平洋を包みます。
この日は満月。月が昇ると、漆黒の海に光の回廊が現れました。猫も窓から顔を覗かせ、不思議そうに景色を眺めています。デッキに腰をおろし、夜が更けるまで、月の海路を楽しみました。
朝4時すぎ。目を覚ますと、すでに東京港を北上中。日の出とともに東京ゲートブリッジをくぐります。
5時10分。定刻通りに有明フェリー埠頭に到着。
ゲートが開くとともに、東京上陸。飛行機や新幹線での帰京とは違う余韻を感じつつ、家路に着いたのでした。
昭和期は日本各地を多くの長距離フェリーが結んでいましたが、今は数えるほどになりました。時代の変化とはいえ、旅の選択肢が限られるのは残念に感じます。日本は島国。次の旅行は少し休みを長くして、海の旅路を選んでみてはいかがでしょう。海原の彼方に、きっと新たな景色が広がることでしょう。