「関東ふれあいの道」という長距離自然歩道があります。一都六県の自然・文化・歴史を巡る総延長1800km、160のルートから、今回は「三浦・岩礁のみち」を紹介します。
松輪江奈港を出発。毘沙門海岸へは2kmほど道路を歩きます。ルートには要所要所に標識があり、迷うことはありません。
江奈湾干潟。神奈川県に残された貴重な干潟です。かつて埋立て計画がありましたが反対運動により開発を免れました。
干潟は多様な生き物の楽園。コアマモの群落をゆくホンヤドカリ。
断崖がつづく岩場を歩いてきただけに、干潟の穏やかな情景がとても新鮮に感じられます。
自然歩道は江奈湾を高巻くように迂回。台地に広がる大根畑を進みます。
毘沙門海岸へつづく道。景色は一変、竹の回廊になりました。三浦市沿岸部はその殆どが風致地区に指定されていて、海辺と樹林帯が連続した自然環境が守られています。
おかげで三浦の海は乱開発を免れ、美しい景観が保たれました。風致地区の制定は、古くは昭和10年に遡ります。「岩礁のみち」を歩いていると、当時の施政者の先見に感じ入るとともに、自然こそ次世代へのギフトであることを改めて実感させられます。
岩礁、砂浜、干潟、入江、豊かな森と農地。変化に富み、地球と生命のエネルギー溢れる環境は、ここが世界有数の都市圏であることを忘れさせてくれるでしょう。
人口減少が進み、存続が危ぶまれる自治体と言われる三浦市ですが、このかけがえのない「資源」を受け継ぎながら、自然と人の暮らしが調和したまちづくりが為されることを願うばかりです。
ゴールまで3キロ強。この日は最後まで他のハイカーに出会いませんでした。
初冬の三浦の風物詩、ツワブキの花。暖色の少ない季節の海岸に、鮮やかな彩りを与えます。
心地よい芝地で小休止。友人が珈琲を挽いてくれました。凪の海に穏やかな時が流れます。陽が西に傾くまで、よもやま話に花を咲かせたのでした。
次回は盗人狩海岸、そして三崎港へ。