南緯32度、日本との時差12時間。日本列島の裏側、地球儀をぐるりと半周回した場所、世界最長8,000kmアンデス山脈の旅へ。日本の地平線の下、南半球の星空(宇宙)を眺めながら、南米大陸最高峰アコンカグア峰(6,960m)山頂を目指します。
南米大陸最高峰・アコンカグア峰(6,960m)登山 vol.1は こちら
標高差1,430m、移動距離30kmを駆け登って(もらって)、アコンカグア峰BCのプラザ・デ・ムーラス(4,230m)に到着です。ウマ、ロバ、ムーラの皆さんにご尽力いただき、共同装備と一緒に我々も運んでもらいました。
スケールの大きな渓谷の谷底を、先頭から最後尾まで一列で進む光景に、当事者でありながらドキュメンタリー番組でも観ているようです。ウマの旅は初めてですが、「歩いて」「止まって」「曲がって」といったこちらのお願いを素直に聞いてくれるため、かわいくて仕方がありません。その乗り心地の良さから一度も降りないままBCに到着してしまいました。休息時間中も降りてくれないお荷物にウマにとってはハズレの日だったかもしれません。
本日の仕事を終え、スタッフから一頭、一頭とても丁寧にケアしてもらっています。気持ち良さそうなウマの表情を見ているだけで癒やされます。
仕事の邪魔になっては申し訳ないと思い遠くから眺めていると、よほどの動物好きと思われたのか、スタッフのひとりが声をかけてくれました。
BCに到着した登山者は大勢いますが、ウマ、ロバ、ムーラに囲まれて喜んでいるのは、私だけのようです。
動物たちを扱う方々のプロ意識からでしょうか、熱心に現地の言葉、かつ、早口で動物たちのこと(と思われる)について説明してくれます。語学が堪能と思われているようなので、その仕草から説明している意味を察します。将来就きたい憧れのお仕事を聞く、小学生の職場見学、中学生の職場体験のようです。
お別れの時、「そのカメラ貸して」みたいな仕草から、フィルムカメラを手渡すと記念写真を撮ってくれました。登頂が明確な目的とした登山ではありますが、私にとっての登山の魅力は、「山+星+人」ではなく、「山×星×人」であることを、このような小さな出来事が教えてくれます。
標高4,230m。エル・プロモ峰登山で高所に順応しているため、空気の薄さを全く感じません。
とてつもなく大きな岩山、アコンカグア峰が目の前です。