〈※本記事は、2015年4月にフィールドに訪れた際のアーカイブレポートになります〉
「世界最高峰」この言葉は様々なシーンで表現されますが、伝統のある物語を感じさせてくれます。地球上で最も宇宙に近い世界最高峰から見上げた空、見下ろした地平線はどんな光景でしょう。ローツェ峰から眺めた世界最高峰は、どんな山容なのでしょうか。想像が山のように膨らんでゆきます。
アフリカ大陸→南米大陸→ヨーロッパ大陸→北米大陸、各大陸の最高峰を旅して、いよいよ高校1年生の2月から憧れていた世界五大陸最高峰でもあるアジア大陸最高峰に向かいます。その頂は北極点・南極点と並んで、地球の三極点とも呼ばれています。飛行機に搭乗しても、自分自身がエベレスト峰に向かっていることが信じられません。ネパールまでの長い搭乗時間ですが、気持ちが高ぶっているからでしょうか、眠くならないので空と雲を眺めて過ごします。
トランジットのため、ターミナルで長い時間を過ごします。ここまで準備してきたことを振り返りつつ、これから始まるドラマを想像しながら待ち時間を楽しみます。ターミナルでの時間は、高揚した気持ちを落ち着かせてくれます。
ターミナルの空間に包まれていると、日本での日常生活から非日常的なヒマラヤ遠征への意識に少しづつ変わっていきます。
挨拶すら交わすこともありませんが、一期一会の出会いとして同じ空間で数時間ほど一緒に過ごした方々が、世界中の空港に飛び去ってゆく姿を眺めます。
ネパール・カトマンズに到着。今頃眠くなってきましたが、「Welcome to Napal」のパネルが眠気を刺します。
世界第8位・マナスル峰(8,163 m)遠征以来のカトマンズ。「ここに戻って来られた!」という気持ちが湧き上がります。国際空港からホテルまでの道のり、揺られながらカトマンズの街中を車窓から眺めます。
昨夜は寝不足だったため熟睡です。カトマンズに到着した安心感からでしょうか、窓を全開にするとひんやりとした朝の風が気持ちいいこと。風光るとはこのことです。
ビルから昇る日の出を眺めます。ネパールと日本との時差は-3時間15分、今頃日本では同じ太陽でも高く昇っていることでしょう。代わり映えのない日の出ですが、時差を少し意識するだけで地球が球体であることと、日本から西方へ遠く移動したことを教えてくれます。
ホテルの窓から眺めた、何でもない風景ですがカメラを向けてしまいます。
今回持参した撮影機材は、ヒマラヤ山脈での美しい星空、星景撮影にも取り組むためビデオカメラまで含めると計6台。三脚など含めると、なかなかの重量になります。登山装備としての軽量化を追求する一方で、天体観測と星景撮影の充実を図ると機材の重量化が加速します。予備バッテリーは多く持参しましたが、充電が出来なくなることを考えると登山が始まるまで温存と分かっていても、無意識に何でもない風景を撮ってしまいます。
朝食の時、テーブルに置かれていた新聞の一面に、これから向かうエベレスト峰の記事が大きく紹介されているではありませんか。気持ちの高ぶりとシンクロするように、何枚も同じような写真をまたまた撮ってしまいました。ネパールでの最初の朝ですが、撮影は記憶として残す旅の必要な手段として、自分自身を納得させることにしました。