南緯32度、日本との時差12時間。日本列島の裏側、地球儀をぐるりと半周回した場所、世界最長8,000kmアンデス山脈の旅へ。日本の地平線の下、南半球の星空(宇宙)を眺めながら、南米大陸最高峰アコンカグア峰(6,960m)山頂を目指します。
南米大陸最高峰・アコンカグア峰(6,960m)登山 vol.1は こちら
「目が覚めたら、まずお湯を沸かしてコーヒーを…」。これは、世界共通のごく平凡な朝の光景ではないでしょうか。そこがキッチンでなくても、このキャンプ地でも同じです。ただ違うところは、その湧かす水は蛇口ではなくテント横の池から汲みます。日本でも少し前の時代までは、井戸などの水を使っていたため珍しいことではなかったと思いますが、とても新鮮に感じる朝食の支度風景です。
すくった池の水を湧かして、パスタを茹でれば朝食の出来上がり。これも登山マジックでしょうか。凛とした冷たい空気を深呼吸しながらの温かい朝食。一品だけでも大満足です。
街に戻るため、数日間滞在したキャンプ地から撤収です。散らかったテント内を片付けながら、大型ザックと中型ザックに個人装備を詰め込みます。登山装備の基本は「必要最低限の装備」「軽量化を図った装備」ですが、登山とは思えない場違いの天体観測機材やフィルム本数の多さに苦笑いです。
狭いテントの中でフィルム一眼レフカメラ2台、デジタルカメラ1台、広角単焦点レンズ、大口径ズームレンズ、中型三脚を改めて並べてしまうと、準備した自分自身でも閉口してしまいます。「登山しながらの天体観測」、「天体観測しながらの登山」、どちらも好きなので余分な装備が増えてしまいます。活動時間が昼夜フルタイム、ダブルヘッダーになることと背負う荷物が増えるため、体力勝負になります。しかし、楽しみも増えるため、ザックを担ぐ作業にも自然と力が沸いてきます。
良いことなのか、良くないことなのか、これから半日歩き続ける道が全て見えてしまいます。
山頂まで辿り着けなかったエル・プロモ峰の見納めとして、無意識に何度も振り返ってしまいます。
「この天気が昨日だったら…」。登山にはよくある話、いつものことです。
登るときには気がつかなかった小さな花々を見つけます。
仲間たちから遅れて心配かけないよう気をつけながら花を観察します。
植物も名前やその特徴を知っているとより興味が湧きますが、何も知らなくても花はただ見ているだけで癒やされます。これは星も同じです。
早く帰るだけの下山では、ひたすら歩くだけの作業になりがちです。ここは日本列島の裏側アンデス山脈、少しでも気になるものを発見したら、足を止めて見ておかないと損、損。好奇心と探求心の深さが試されます。
振り返って峰を眺めたり、立ち止まって花を観察したり、見上げて碧い空を眺めたり。今日もカメラは大忙しです。