世界で初めて世界五大陸最高峰に登頂した冒険家・植村直己さんの活躍に、どきどき、はらはら、わくわくしていた小学生。通学路の世界しか知らない子どもにとって、スーパーヒーローです。その冒険家の遭難を知った時、「世界五大陸最高峰に登ってみよう」ぼわっと頭の中でそんな思いが広がりました。「憧れ」から「挑戦」に変わった瞬間、高校1年生の時でした。
標高2,720mの野営地、赤道に近い場所ですが爽やかな高原の朝そのもの。国際色豊かなマンダラハット、様々な国の言葉が聞こえてきます。言葉の意味は分かりませんが、まだ眠そうな様子は伝わってきます。
登山2日目。標高3,720mホロンボハットを目指して、ゆっくり歩き続けます。ジャングルのような樹林帯は昨日まで。今日は、草原帯を歩きます。とても奇妙な植物ばかり。珍しい草花や樹木を見つけると立ち止まりたくなるため、なかなか進みませんが、体を高所に慣らすには、ちょうど良かったのかも知れません。
不思議な植物探しの1日。登りを感じさせない遊歩道のような緩やかな道を歩き続けます。気がつくと標高1,000m登っており、雲の上に辿り着きました。ホロンボハットに到着です。
テントからの眺めの素晴らしいこと。アフリカ大陸が眼下に広がります。シュラフに入りながら、素敵な風景が眺められるということだけで、100点満点の野営地です。
共同炊飯場では、ポーターが荷揚げした食材で、到着と同時にコックが夕食の準備を始めます。ポリタンクに水を入れると、うっすら茶色く濁っていますが、気にせず焚き木でお湯を沸かします。焚き火で燻されながら湧かしたお湯の香りが良く、眺望の素晴らしさが手伝って、とても美味しいお茶に仕上がります。
突然の夕立。テントの中から、共同炊飯場から立ち上る煙を眺めて過ごします。
雨が上がれば、テントの中にこもっている理由はありません。リーダーに夕食まで周辺を散策することを報告した後、フィルムカメラだけ持って散策を楽しみます。
雨上がりの空。色と明るさが刻々と変化するアフリカの広い空を眺めながら、贅沢な時間を過ごします。
光害のないアフリカ大陸の美しい星空。小学4年生の頃から天文に興味を持ち、星空を眺め続けていますが、南半球の夜空は初めてです。今まで宇宙の半分しか眺めていなかったことに気がつきます。プラネタリウム解説員でありながら、夜空を見上げても星座絵のイメージが浮かび上がりません。初めて見る星空に感動すると同時に、星座として星々を結べないことに焦りを感じました。